渡唐天神(その2) 

さて南宋は径山(きんざん)興聖万寿禅寺(こうしょうまんじゅぜんじ)。
海の向こうでそんなやり取りがあったとは知る由もない無準師範。
朝起きてみると、昨日まではなかったはずの草が庭に生えています。
いぶかしんでいると、梅の枝を手にした人物が突然目の前に現れました。

「どなた様ですか?」
彼は無言で庭に生えた草を指さしました。

禅の高僧だけあって、無準はとっさに状況を理解しました。
(この草は日本でいうところの菅(すげ)、日本の菅神であろう……。)
円爾の意見を聞き、天神は早速無準のもとを訪れたようです。

天神は無準の前にひざまづき、梅の枝と共に和歌1首を捧げます。

  唐衣(からころも)織らで北野の神ぞとは 袖に持ちたる梅の一枝(ひとえだ)

無準は弟子入りの証として、天神に袈裟(けさ)と偈(げ)を与えました。

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