特別展の図録 

殺人的な重量で話題を振りまいた過去の特別展図録に比べ、
今回は良心的な(あるいはまともな)重量となっています。価格は1冊2000円。

特別展図録の厚さ比較


左側が「国宝 天神さま」(238頁)、
右側が上から「北野天満宮神宝展」(298頁)と「天神さまの美術」(366頁)です。

図録の厚さを測ったところ、実測値として次の数値が得られました。

 ・『国宝 天神さま』 1.9cm
 ・『北野天満宮神宝展』2.35cm
 ・『天神さまの美術』 2.8cm

ページ数の差には出品点数も影響しますが、むしろ解説や論文の量に左右されるようで、
『天神さまの美術』はカラー図版に伍するほど活字のページが入っています。

特別展「国宝 大絵巻展」の図録を読んだ時、これは欲しいと思いました。
その理由がコラムの本数と折り込み図版の多さ。
通常の特別展図録に比べ、明らかにページ数は少ないのですが、
縦長であるべき図録をわざと横長に倒し、
長い用紙を折りたたむことで、より長い画面を1面に収める事に成功しました。

横長の用紙を巻きながら読む絵巻物の特質を踏まえ、
なるべく多くの画面を収録しようとする試みでした。
画面をぶつ切りにし、ハイライト画面を抜粋して拡大する従来の方法には、
全体の流れが分からない問題点があるのです。

今回もこの手法が継承され、承久本は折り込み式で掲載しています。

紙の作品目録


写真は折り込み部分を完全に開いたところ。左右4ページ分ずつあります。
脚立がないと撮影できないほどの幅でした。

コラムは学芸員を中心に、一部外部の研究者が担当。
1テーマ1ページでさらっと読めるように、うまくまとめてありました。

論文については、あまりに執筆者の顔ぶれが手堅すぎて
新鮮味や面白みに欠けるきらいがあります。
新事実の発見や新見解の表示より、過去の議論を敷衍している印象を受けました。

さて問題は、2000円払ってまで買う価値があるのか? という事。
図録は図書館になかなか入らないことを考えると、
専門家なら中古であっても買うことになるでしょう。

普通の人の場合、絶対買えと言い切るには活字部分がもう少し欲しい気がします。
コラム読んで写真眺めてで終わり、というのはあまりに寂しいものです。
この点では、最近吉川弘文館から出た『北野天神縁起を読む』をお勧めします。


(2008/12/5追記)
 この図録、12/1の時点で既に完売になっていたようです。
 まさかとは思いますが、会期中に売り切れてしまったんでしょうか……?
 11/24に知人に頼まれて1冊購入した時は、まだ余裕があるように見えました。

 何年か経ったら、ネットオークションや古書店へ流れるのが常ですから、
 こうなってはその時まで気長に待つしかないですね。
 あとは県立図書館あたりを探してみるとか。

(2009/7/4追記)
 試しに検索したところ、すでに古書店に出ていました。
 ただ、定価の倍近くという値段ですので、店名を挙げるのは控えておきます。
 1500円前後でしたら、買いかなとは思うのですが。
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