これは必見!(その5) 

23「延喜式(えんぎしき)」 (〜11/3)

ようやく国宝の御登場です(笑)。「式」とは施行規則や行政通達を集めたもの。
「厳密には亡くなった後だけど、同時代の史料だから出すのかな?」と
思いきや、展示されていたのは、お固い法律ならぬ地図でした。

延喜式の左京図

(写真提供:九州国立博物館)

「道真が『東風吹かば……』と詠んだのはここですよ〜」とやりたかったらしい。

ただ、どこか非常に探しにくいので、探し方をお教えします。
まず中央の折り目から、視線を手前に引いて下さい。
そこで通りの名前から「綾小路(あやのこうじ)」を探し、再び上へ。
中央付近に「紅梅殿(こうばいでん)」が見つかります。その左が「天神御所」。
『東風吹かば……』を詠んだのが紅梅殿、現在菅大臣神社があるのが天神御所です。

学芸員さんに「この辺は現在どうなってますか?」と聞かれましたが、
「googleストリートビュー」で簡単に見られます。その方法。

(1) googleマップで「モンプチシュシュ」(ペットショップ)を検索する
(2) 「ストリートビュー」をクリックする
(3) 天神御所跡地の南西角が表示されるので、西洞院通をひたすら北(=画面左)へ進む
(4) 途中、菅大臣神社の西側の鳥居の前を通る
(5) 仏光寺通との交差点から先、綾小路通との交差点までが紅梅殿があった場所

ちょうど西側から屋敷跡を眺める格好になります。
今年の春に完成したマンションが近辺にあったので、まさに直近の画像です。
道真の書斎跡(紅梅殿の南西角)はうどん屋・病院・ニューアル中の児童公園。
民家と小規模店舗の目立つエリアのようですね。

21世紀の京都より中継でお送りしました。
それではスタジオにお返しします。……なんてね。

ちなみに、仏光寺通を東に入ると、菅大臣神社の北側の入口も見られます。
北菅大臣神社は奥にありすぎて、どうにもこうにも写っていませんでした。残念。


これは必見!(その4) 

28「白玉帯 丸鞆」

背後の復元模型でも分かるように、革ベルトの飾りに使われた石です。
中央の小さなカマボコ型のものが、昨年出土したもの。
道真終焉の地・榎社(えのきしゃ)付近から出土したとして話題になりました。
(日本経済新聞にも載っていました……なぜ?)

白玉帯と龍牙硯

(写真提供:九州国立博物館)


太宰府天満宮の味酒安則(みさけやすのり)さんは、当時
「道真公の物に違いない!」と熱く博多弁で語っていましたが、
新聞には、「残念ながらその可能性は低い」と、
発掘担当者の冷静なコメントが踊っておりました。

隣にある石が、その味酒家に道真の遺品として伝来している硯。
道真の最期を看取った味酒安行(うまさけのやすゆき)の子孫なのですよ、この方。

今回展示されている玉帯は青白いものばかりですけど、
平安京からは「まさに大理石!」と言わんばかりにカラフルなものが出ていますので、
なかなかおしゃれな装いだったようです。

これは必見!(その3) 

16「菅家文草(かんかぶんそう)」(巻1:〜10/19、巻2:10/21〜11/16)

道真が自身の作品を集大成した漢詩文集です。巻6までが詩と詩序、巻7〜巻12が散文。

菅家文草・巻1

(写真提供:九州国立博物館)


巻1で展示されるのは冒頭部。とりあえず題の下の注記部分を拾い読みして下さい。

「月夜に梅花を見る〈斉衡三年乙亥。時に年十一。
  厳君(げんくん)、田進士(でんしんじ)をして試みしむ。
  予(よ)始めて詩を言ふ。ゆえに篇首(へんしゅ)に載す。〉」
11歳の作。自分が嵯峨天皇の前で詩を詠んだ年齢になったので、
父・菅原是善(これよし)が弟子の島田忠臣(しまだのただおみ)に命じて
作らせたものです。記念すべき処女作のため、巻頭を飾っています。

「臘月(ろうげつ)に独り興ず〈時に年十有四。〉」
「残菊の詩〈十韻、時に年十六。〉」
14歳と16歳。そのままですね。

「『赤虹篇(せきこうへん)』を賦(ふ)し得たり、一首
 〈七言十韻。これより以下四首、進士(しんじ)の挙(きょ)に応ずるに臨み、
  家君(かくん)日毎に試みる。数十首有りと雖(いえ)ども、
  その頗(すこぶ)る観るべきを採(と)りて留(とど)む。〉」
「『青を詠ず』を賦し得たり、一首〈十韻、泥字、擬作。〉」
「『躬桑(きゅうそう)』を賦し得たり、一首〈六十字、題中韻。〉」
「『折楊柳(せつようりゅう)』を賦(ふ)し得たり、一首〈六十字、題中韻。〉」
この4首は、文章生(もんじょうしょう)選抜試験を前に、
父親が日々出題した模擬試験の解答から抜粋したもの。
問題文を今風に直せば、
「○○を題材にした五言律詩を作れ、韻字は□、文字数は△字。」
といったところ。17〜18歳、青春まっただ中の受験生です。

「九日宴に侍(はべ)り、同じく『鴻雁(こうがん)来賓(らいひん)す』を賦す、
 各(おのおの)一字を探り、葦を得たり、応製
 〈これより以下十九首、進士(しんじ)及第の作。〉」
晴れて文章生となり、九月九日の重陽の宴に出席したときの詩。

「八月十五夜、厳閤尚書(げんこうしょうしょ)、
 『後漢書(ごかんじょ)』を授け畢(おは)んぬ。
 各(おのおの)史を詠じ、黄憲(こうけん)を得たり〈序を并(あは)せたり。〉」
菅原家の私塾で是善が続けていた『後漢書』(中国の歴史書)の講義が終了したので、
毎年恒例の八月十五夜の宴席でも、そこから題材が取られました。
道真は20歳。序文も書いています。

あとはもう自注も少ないので、訓読のみあげておきます。

「重陽宴に侍り、『景(ひかり)秋稼(しゅうか)に美(うるは)し』を賦す、応製」
「梅華を翫(もてあそ)ぶ、各(おのおの)一字を分かつ〈探りて勝字を得たり。〉」
「八月十五夜、月亭に雨に遇ひ月を待つ〈韻を探りて无を得たり。〉」
「秋風詞〈題中韻。〉」

展示品解説ではなく、漢詩講座みたいになってしまいました。
でもここまで長々と展示するのは本当に珍しいんですよ。

11/18からは、晩年の漢詩集「菅家後集(かんかこうしゅう)」とセットで
別の写本に変わりますが、この「菅家後集」がなかなかスゴいものなので、
(「前田家甲本!」と言われて分かる人は少ないでしょうが……)
改めて会期後半に取り上げるかも知れません。

地下鉄ジャック 

福岡市地下鉄の車内が1両丸ごと特別展のポスターで埋め尽くされていました。
いちおうJRの広告なんですが、さすが天神(福岡の繁華街)を通るだけあります。

特別展のポスターを貼った福岡市地下鉄の車両内部

記念よかねっとカード 

西鉄と福岡市地下鉄で使えるプリペイドカード「よかねっとカード」に、
特別展バージョンが登場しました。図柄は承久本「北野天神縁起絵巻」の天拝山。
1000円です。限定1000枚。

9/22の夜、二日市駅で宣伝用のパネルを撮影していたら、
駅員さんに「こんなのもありますよ〜」と教えられたので即購入。

「申し訳ないですねぇ、売りつけたみたいで」
「いえいえ、言ってもらえて助かりました (悦)」
ニーズとウォンツが見事に一致した夜のヒトコマでした。

なぜか西鉄のニュースリリースにも出ていませんし、
太宰府駅にも案内がなかったので、改札口で聞いてみることをお勧めします。

会場で提示すると入場料が200円引になりますが、
前売券が参道のあちこちで売られているので、あまり意味はないかも知れません。

(付記その1)
 ようやく10/1付で西鉄のサイトに登場しました
 発売開始は9/23。思いっきりフライングで購入したようです(笑)。

(付記その2)
 11/2に太宰府駅に問い合わせたところ、
 太宰府駅はもとより、福岡(天神)駅・二日市駅でも完売したとの事。
 もともと発行枚数が少ないので、入手は困難になっていると思います。

これは必見!(その2) 

39「メトロポリタン本 北野天神縁起絵巻』 (巻3:〜10/26、巻4:10/28〜)

その名の通り、アメリカのメトロポリタン美術館が所蔵している絵巻です。

道賢(どうけん)という僧侶が、太政威徳天(だいじょういとくてん)に
転生した道真に会ったという「道賢上人冥土記(どうけんしょうにんめいどき)」
(別名「日蔵夢記」)の内容を詳しく描いた、非常に珍しいものです。

前回は一部分を少しだけ見せる程度で、まるで肩すかしでしたが、
今回は、道賢が笙の窟(しょうのいわや)に籠る巻3冒頭部から、
太政威徳天城に向かう場面まで、かなり長めに展示されています。

メトロポリタン本

(写真提供:九州国立博物館)


会期後半は、地獄に落ちた醍醐天皇を道賢が目撃する箇所が展示されます。
後世名君と讃えられた君主が、もとどりをさらして炎の中にたたずむ
ショッキングな光景に、戦前は紹介さえはばかられたシロモノをとくと御覧下さい。

これは必見!(その1) 

35「北野天神御伝 并 御託宣等」 (〜11/16)

前半の「北野天神御伝」が、孫である菅原在躬が著者という説もある、
現存最古の道真の伝記。
江戸時代に加賀藩主前田綱紀(つなのり)が鎌倉で発見したものです。
道真が投壷(とうこ)を得意とした、なんて珍しいエピソードも。

北野天神御伝の写真

(写真提供:九州国立博物館)


今回の展示の趣旨は、ここに道真の遺言が記載されていることでしょう。

「異郷で死んだ者は遺骨を故郷に返す習わしだが、
 自分は思うところがあるから、それは希望しない……」

と、先祖代々の墓所がある吉祥院(きっしょういん)(京都市南区)
地域への埋葬を拒否したからこそ、今の太宰府天満宮があるのです。
社殿は道真のお墓の上に建っていますからね〜。

非常に貴重なものなんですが、
図録の写真はなぜか正室・島田宣来子(しまだののぶきこ)の叙位の
記事あたり(55歳時点)で終わっており、肝腎の部分がありません。
悲しいかな、現物限りです。

なお、会期後半は綱紀書写バージョンに変わります。
こちらは図録にも完全収録されています。

阿古君、菊に囲まれる 

だざいふえんの手前に博物館へのエスカレーターの入口がありますが、
子供時代の道真(阿古(あこ))が短冊を手にたたずんでいます。
周囲にはプランターに植えた大量の菊。

菊に囲まれて立つ阿古少年


道真は梅好きで有名ですが、実は菊や竹も好きなんですね。
特に菊は「若い頃から好きだった」と自分でも認めているので、
季節柄ではなく、高度なシャレかと思いました(笑)。

背後から見た阿古少年


和歌でも書いてあるかと期待して、背後からのぞいてみると、
短冊は真っ白の勧進帳状態でした(笑)。

展示室はこんな感じです 

エントランスは、正面が承久本を使った金色の巨大パネル。
手前左が土産物屋。右がコラージュ写真を使った巨大絵馬。

特別展会場の入口


入ってすぐのアイキャッチは、観世音寺の梵鐘でした。
鐘の音を流す事は、音声ガイドを含めてやっていません。

さて、配列をざっと書き出すと、こんな流れです。

・道真とその時代に関するもの
・女性講談師・神田紅がナビゲートする道真の生涯を紹介するVTR
 (9/23にテレビで放映された30分番組のダイジェスト)
・観客の側から寄せられた情報を掲示する「天神さま研究所」
・天神縁起絵巻
・束帯天神
・渡唐天神
・十一面観音などの仏教関係
・連歌資料
・歌舞伎を中心とする江戸時代の出版物
・太宰府天満宮と防府天満宮のお祭りにちなむもの
・最後に太宰府天満宮の神輿

展示目録の順番とは必ずとは一致しません。
絵巻の所まで来て、「道真の遺品類を見ていない!」と気がつき、
慌てて戻ったものの見つからず、元の場所に戻ると、
さっきの絵巻の背後にあった、というオチが……。

特別展会場・展示第2室

(写真提供:九州国立博物館)

(中央の椅子みたいな物体が展示ケースで、中に遺品群が入っています。)


あと、完全一方通行の構造ではないので、人によっては途中で道に迷います(笑)。

入館状況 

絵巻物に強い横長の展示ケースを有する九博らしく、
ひとつの絵巻物を2〜3シーン開いていることがあります。
同じものを続けてじっくり見られるのは便利ですね。

初日の人の入りは、まずまずと言ったところ。
断続的に入場する光景が見られました。
特別展狙いで来たのかと思いきや、寄ったら偶然やっていた、という人も。
幸い、人の流れに乗って見るしかない混雑ではなく、
自分のペースで見ることができます。

1Fエントランス

(1階エスカレータ手前の光景。左半分を占める物体については、後日取り上げます。)

特別展速報、始めます 

早速行ってきました、九州国立博物館@福岡県太宰府市。
本気でレポートを書くと徹夜しても到底終わらないので、
とりあえずダイジェスト版でお送りします。
書きなぐっているので、文章が汚いのはお許しを。
写真はおいおい追加してゆきます。

九州国立博物館の外観


(付記)
 この下に「次の5件」と、さらに記事があるようなリンクが表示される場合でも、
 実際の記事はここで終わりです。
 管理用に置いている非公開のファイルまで拾っているようです。

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。